ドルの凋落によるFX市場の変化

●サブプライム前とサブプライム後のドル

サブプライム前まではここ数年、ずっと円安傾向が続いてきました。
一時は、円の実効為替レートはプラザ合意(1985年、ニューヨークの『プラザ・ホテル』で行われたアG5(先進5カ国蔵相・中央銀行総裁会議)で発表された為替レートにおける合意のこと。翌日の月曜日には1日で米ドル/円レートが1ドル=235円から約20円下落し、ドル高・円安から円高への契機となった。)以前の水準に逆戻りしたといわれていました。
すなわち、サブプライム前までは、みんながFXで儲かりやすい環境だったのです。(円/ドルを買っていれば儲かる確率が大きかった)

しかし、サブプライム後の今後はどうなるか分かりません。
今の円の水準が高いのか、安いのか、本当のところはプロでも分からないと思います。
株の場合、企業の収益(ファンダメンタル)に対して、明らかに株価が『上がりすぎ、下がりすぎ』という概念がありますが、為替の場合は株ほど『上がりすぎ、下がりすぎ』の概念が当てはまらないのです。

では、為替は何で動くのか?
一般に言われている材料とは、対米ドルで考えると
@景気動向
A米国経常赤字
B地政学的リスク
C原油価格
D為替介入
E金利差
などが言われています。

しかし、これまでの歴史を振り返ると、最も大きく為替レートを動かしてきたのは『アメリカの通貨政策』でした。
1980年のレーガン大統領による『強いドル』政策によるドル高、1985年の不景気を食い止めるために打ち出したドル安政策『プラザ合意』、日米貿易摩擦が問題になった1995年には、円高は史上最高値の1ドル=79円75銭までに。

やはり為替市場における基軸通貨は良くも悪くも米ドル。
ほかにどんな材料があろうとも、アメリカがドル高といえばドル高に、アメリカがドル安といえばドル安に、為替市場は結局、アメリカの思うがままに動いていたといっても過言ではないでしょう。
しかし、サブプライム以降、状況は変わってきました。
明らかにドルの凋落が見られるのです。


●世界でドルの地位が低下している

例えば、中国などの新興国が輸出で稼いだ資金を『外貨準備』(国や輸入代金決済や支払いなど、対外支払いに充てるために準備しておく外貨のこと)としてどんどん積み上げていますが、外貨準備に占める米ドルの比率が2001年をピークに低下しています。
その分、ドルのライバルでもあるユーロの比率が上昇しており、ドルからの受け皿になっているようです。
通貨の売買高シェアを見ても、米ドルのウエイトは低下、それに代わって、ユーロを筆頭に他の通貨のシェアが上昇しています。

さらに、以前は『有事のドル買い』といって、世界のどこかで戦争が起こると、軍事力の強い国であるアメリカの通貨が買われて上がっていきました。
しかし、『9・11同時多発テロ』が起きたとき、有事のドル買いどころかドルは暴落したのです。(ちなみに現在ではドルに代わってスイスフランが有事の退避通貨として注目されています)

こうした世界のパワーバランスの変化も、FXを行う上ではしっかり見ていくべきでしょう。
もちろん、ドルが弱くなってきたとはいえ、ドルでFXが稼げなくなってきたわけではありません。
極端なことをいえば、為替相場がしっかりと読めるならどんなFX市場でも稼ぐことはできるわけですから。
ドルの凋落が明らかになった今、今までのようなFX投資手法では稼げなくなってきたということです。
これは、ドルを中心に運用するにしろ、他の通貨を中心に運用するにしろ同じです。

FXで稼ぐために、市場に合わせて臨機応変に対応していく柔軟力を身に付けるようにしましょう。

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